間違いだらけの備忘録

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SIerは衰退しました ―ようせいさんの、たいかんきょほうしゅぎ―

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/fatalstaynight/2012/07/sier-episode-1-ec58.html

かつて太古の昔、システム開発といえば汎用機という名の大型電算機によるJCLが主流という時代。徹夜中のプログラマがしばしばバイナリダンプ文字列とともに、彼ら“妖精さん”の姿を見ることがあったと、各種の伝承・民話・および人月の神話で伝えられています。おそらくそれらの古代から、彼ら“妖精さん”は存在していたのでしょう。
(中略)
 「ぼくはせんそうがだいすきですー」「くりーく! くりーく! くりーく!」「ろんどんばしはうたのようにおとすです?」「いっしんふらんのだいせんそうをー」「まじょのおばあさんののろいなのです?」「しんでからやすめばいいのでは」「あのよではとばないのでせいびはいらんです?」「まわせーっ」「ぼくのおしりをなめろです?」
(中略)
 あたりを見回しますと、揚陸艇の蓋が開いた瞬間バタバタと機関銃弾に倒れていくプレイに大興奮している(どえむな)妖精さんたちや、「にげるやつはぷろぐらまです? にげないやつはよくくんれんされたぷろぐらまです?」と叫ぶ妖精さんのヘリ(やはりUH-60なのでしょうか)がロケット擲弾発射器らしきものによってオートローテーション降下に入ったりしていました。年代も場所もぐちゃぐちゃ、簡潔にいうと地獄絵図です。

素敵〜

SIer』は『ワンストップ・ソリューション』をスローガンに発展を続けました。これは簡単に言うと、『SIer』へとシステム構築の仕事をほぼ丸投げし、あとはすべてお任せという仕組みです」

 「これもいわばシステム開発における『ドクトリン』――『戦術』の1つといえるでしょう。誤解を恐れずに言うならば、決戦に向けての主力艦として、開発プロジェクトを率いる旗艦として、『SIer』という戦艦と、それをサポートする協力会社という形で『IT時代の聯合艦隊』が作られ、『情報システムの開発』という戦争に挑もうとしたわけです」
(中略)
2つの大きな『時代の変化』。戦艦の例での真珠湾やマレー沖に相当する、大きな時代の転機――これが2000年代後半に起きた、『リーマンショックによる不況』と、『Web2.0』や『Ruby on Rails』などに代表される『軽量開発手法による開発体制の縮小化(リストラクチャ)』です」

 「この衝撃がもたらしたのは、顧客となる発注企業の、システム開発に対する考え方の急速な変化でした。世界的な大不況に伴い発生した不景気により、コストのかかる大規模開発は忌避され、軽量開発手法により安価で柔軟なシステム開発を可能とする、Web系企業へと発注先はシフトされていくことになりました。いわゆるSaaSクラウドサービスの流行も、その流れを後押ししたと言ってよいかもしれません」
(中略)
 「この構図は、海戦の主力兵器が戦艦から空母や潜水艦へ移り変わったことと、非常によく似ていると思いませんか? そして変化に柔軟に対応できなかった帝国海軍と同様に、大企業たる『SIer』も変化に柔軟に対応することはできませんでした。これにより、図体だけが大きく高コストで柔軟性にかける『SIer』という組織は、その存在理由を大きく失ってしまったのです」

 「個人的な見解を補足しますと、『SIer』の提唱した『ワンストップ・ソリューション』というドクトリンが、『システム開発の成否を分ける直接的かつ決定的な要因』にはならなかったことも、原因のひとつだったのではないかと思います。小規模短納期開発においては、SIerのオフショア開発のような形で練度不十分な人海戦術に挑むくらいなら、Web企業のように小数精鋭による遊撃戦を展開した方が失敗しにくいという、経験則があります。『SIerに頼めばシステム関係はすべて安心』には残念ながらならなかったという事実に、皆が気がつきはじめてしまったのかもしれません」

おおロミオ!

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