http://macroscope.world.coocan.jp/ja/work/digital_text/nakaya/hoho/index.html
岩波書店 (岩波新書 青版 313, G50), 1958年
まず第一に、一番重大な点をあげれば、科学は再現の可能な問題、英語でリプロデューシブルといわれている問題が、その対象となっている。 もう一度くり返して、やってみることができるという、そういう問題についてのみ、科学は成り立つものなのである。
(中略)
予測されない問題に対しては、科学は案外無力であるからである。ただ科学の効果というものは、こういう予期されない問題についても、その範囲をだんだん狭めていくというところにある。 そういう意味では、非常に強力なものであって、科学の力によって災害を減らすことはできるが、それには統計の観念を常にもっている必要がある。 すなわち山崩れが起き得る条件になった時に、仕事を止めて避難する。 しかし起きない場合も、もちろんある。 その時に科学の悪口をいってはいけないのであって、科学の力は統計的な面において発揮されるのである。
基本の押さえ